つれづれなるままに

教育や家族に関することを中心に書いていきます。

チューへ~小学校卒業式~

チューへ

 

あなたが、療育保育を卒園したときも、パパはあなたに手紙を書いて、卒園アルバムに載せた。今回は、ブログにあなたへの手紙を書くね。

 

今日、あなたは立派に小学校を卒業した。この6年間のあなたの成長は著しかったよ。新型コロナウイルス、あなたによると「変なの」のせいで、卒業式ができるかどうか、パパたちが出席できるかどうか分からなかった。それが卒業式も行われ、パパとママも出席できた。とても嬉しかった。

 

特別支援学級に進学することを決めたのはパパだった。普通教育ではなく特別支援に進学すると、今後生きていく中で制約がかかる可能性は高い。しかし、そういった制約も、社会の理解が浸透していくにつれて減っていっているね。とてもありがたいことだ。あなたも、ありがたいという感謝の気持ちをもって生きてほしい。

 

6年前の入学式。忘れはしない。

 

あなたは補助の先生と一緒に手を繋いで体育館に入ってきた。静かな体育館。あなたの「グリーンボトル」の歌が、小さい声ながらも響き渡る。

 

あなたは入学式で、英語の歌を口ずさんでいたんだよ。覚えているかな。パパとママは頭を抱えた。今となっては笑い話だよ。

 

教室に行くと、補助の先生は、保護者や友達の前で、チューの自己紹介をしくれた。先生はチューの課題を洗いざらい話した。前に立ったあなたの様子は、明らかに課題がある子であることが分かるものだった。パパのそのときの正直な気持ちは、「そこまで話すか」という気持ちと、「これで良いのだ」という気持ちが入り交じったんだ。ママは涙目になっていた。

 

一年生の時の運動会。徒競走の意味も分からない。みんなでダンスする意味も分からない。担任の先生がずっとあなたの隣りに寄り添った。パパとママのそのときの願いは、あなたが集団の中に埋もれてくれること。つまり、みんなと同じ行動がとれることだったんだ。

 

パパの考える人間の個性は、集団行動が取れる中で、それでも人それぞれに輝くものなんだ。これは色々な意見があるけれど、パパはそう考えるんだ。人間は社会性を持った動物。社会性は大切だ。生まれ持ったもので、社会性を持てない人もいる。社会性を持てない人でも、社会性を持つ人がその人を包み込む。あなたには、その包み込む方になってほしいと願っているんだ。集団行動の意味が分からなければ、社会性も育まれにくい。

 

あなたは、人に恵まれたよ。先生、特別支援学級の友、普通級で交流授業で一緒に学ぶ友。みんな優しかった。

 

2年生のマラソン大会。あなたはマラソンの意味も分からない。歩いたり、いきなり走ったり、また、歩いたり。何周も遅れて、ビリだった。

そのあなたに対して、その場にいた児童たちが「チューちゃんガンバレ❗️チューちゃん、ガンバレ❗️」と、最初は数人、段々と増え、そして、最後は、その場にいた児童全員で応援してくれた。ありがたいことだ。パパは親として目頭が熱くなった。その後、毎年順位を上げて、小6のときは市内の全小6生が競う連合運動会の小学校の代表として長距離走に参加するほどになった。その順位はビリであったが、悔しいという気持ちを持ち、中学に入学したら陸上部に入りたいというほどになった。ものすごい成長だよ。

 

あなたの成長は目覚ましかった。親である私はあなたの成長と努力を誇りに思う。あなたは一目おかれる存在なった。あなたが療育保育園通っている頃を知る保護者から、「あれがあのチューちゃん❗️❓」と驚かれるくらい、立派に育った。

 

乗馬、スケート、書道、水泳、パソコン等々、趣味が多彩になった。

学習に対する意識も高い。楽しんで勉強している。

あなたの周りには友達が集まってくる。

小学生まで、あなたは素晴らしい成長を遂げたよ。

 

あなたは特別支援学級で6年過ごした。無理やり普通級に入れて、大変な思いをしている子もいるんだよ。パパはあなたを普通級に入れる気は更々なかった。パパはこの判断を間違っていなかったと思う。あなたが今後どう思うかは分からないが。今後、あなたが「普通級に通いたかった」と言うかもしれない。パパは言い訳せずに、その気持ちも受け止めてやるよ。

 

今、あなたは算数と国語に関しては小4までのものを自分のものにしている。

 

パパはね。学習に関して、学年制にしていることに疑問なんだ。4月に生れた子どももいる。翌年の3月に生まれた子どももいる。また、能力には個人差もある。それを全て同じ学年として学ばせる。そして、10歳ならばここまでできなくてはならないと決めつける。おかしいじゃないか。飛び級しても構わないし、ゆっくりと学んでも構わないじゃないか。

人はロボットではないんだよ。人はそれぞれなんだよ。

あなたは4年生までの国語と算数ができるようなった。支援級では、公倍数や公約数についても学んでいる。立派じゃないか。中学を卒業するまでに、小学生が学ぶことを身に付けよう。そうすれば、十分に社会で生きていく土台ができる。

だって、普通級に通っている中学生で、小数や分数の計算ができない子もたくさんいるんだよ。あなたはできる。自慢せず、胸を張って支援級を卒業したと思え。人より劣っているなんて思わなくて良い。

 

支援してくれた方々、それは先生、友達、学校のそばで暮らしている方々、スペシャルオリンピックスの方々、発達の塾の先生、あなたのような子が胸を張って生活できるようにしてくれた人々、そして、理解してくれる多くの方々に感謝して卒業しよう。

 

来月からはあなたは中学生。

チューよ。
卒業はゴールではないんだ。

通過点なんだ。

みんなに温かく見送られて、また新たな世界に飛び込もう。

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