小4生のキミへ
小4生のキミはゲームばかりしていると言う。銃で撃ち合うネットゲームだ。学校は休みがち。母親は、学校に行くのも勉強するのも本人次第だと言う。彼は何事も面倒くさいと言い、長続きしない。夜は母親の帰宅を待って、寝るのは夜中の1時過ぎ。
私は母親に言いたいことが多々あるが、キミ自身の問題だ。私が話しているときも、姿勢を崩しフラフラしている。
キミは10年後も、今と同じような生活をしているのか。20年後も、30年後も、ネットの中でゲームをし続けているのか。
本は読まないと言う。マンガはたまに読む。アニメは見る。ネットゲームは1日3時間すると言う。
キミは刺激に毒されている。刺激って分かるかい。目で見ること、耳にすること、触れること、味わうこと、匂うこと、全て刺激なんだ。そして、興奮すると、楽しくなる。
その刺激の強さは
本<マンガ<アニメ<ネット
である。強い刺激に慣れたら、弱い刺激はつまらなくなる。
活字だけの刺激だったのが、絵が入り、絵がカラーになり、絵が動き話し出す。そして、自分がその絵の世界に入り込んで、縦横無尽に動く。そりゃ~、ネットゲームにはまるよ。引きこもる人も増えるはずだ。引きこもっても刺激が得られるんだもの。
でもね、それは所詮、大人がお金もうけのために作った世界、作られた世界なのだ。そして人がはまるようなワナ、いや、工夫がされている。
本はネットゲームよりも刺激は少ない。しかし、刺激が少ない分、色々と想像しなくてはならない。そう。この想像することが大切なのだ。
文字と言う記号から、色も出てくれば、声も出てくる。臭いも出れば味わうこともできる。文字と言う記号から、目の前にカラーの景色が広がるのだ。人間の脳みそってすごくないか。
本を読む中で、言葉を学ぶ。その言葉は、キミの生きる糧となる。
キミにこんな問題を出した。
男の子が父親にお小遣いの値上げの交渉をした。小遣いは1ヶ月1000円だった。父親は男の子に、「『お小遣いをこのままにする』か、それとも『サイコロを振って1~3だったら、その月の小遣いは0円、4~6だったら、3000円とする』かどちらか選べ」と言った。
キミだったらどうするか。キミは迷わず、「サイコロを振る」と答えた。理由は「直感」とのこと。
そう。
その直感は正しい。しかし、その直感を説明できるかい。いや、直感ではなく、理由を言葉で説明できるかい。それも相手が納得する理屈で。
「できない」とのこと。
4年生にとっては当然だね。しかし、説明しようとする努力はできるはずだ。直感は感覚。その感覚を説明できないとどうなるか。
たとえば「ムカつく」。「嫌だ」「気持ちが悪い」「不快である」「悲しい」「不安だ」等、たくさんの気持ちを直感の「ムカつく」一言で収めてしまう。そして、ムカつく原因やムカつくからどうしてほしいと言うことを言葉にできない。その行き着く先は、ムカつかせる者がいなくなれば良いということである。
本を読むと色々なことが経験できる。文字と言う記号から、色々なことを想像しながら、過去の偉人と会うことも、未来の世界を覗くこともできる。それは漫画でもアニメでもネットゲームでも同じだが、大きく異なることがある。
それは想像力を働かせることだ。そしてその想像力は、新たな世界を作り上げる創造力となる。
刺激が多いものは、この頭の中で思い描く力がつかないんだ。
全て面倒くさいで片付けないで。面倒くさいから必要ないとしないで。キミはまだ4年生。キミの短い物差しで、世界を測らないで。世界は広い。脳みその中はもっと広い。 面倒くさいと言う理由で、リアルな世界閉ざさないで。
優しい人は言うだろう。
「良いんだよ。ネットがあなたの居場所なんだよ。」
と。
その選択をした人を、私は非難しない。しかし、小4の子どもには「悪魔のフレーズ」だ。ネットの世界もリアルな世界も両方とも大切なのだ。
将来、外に出ず、学びもせずに、大人の作った商業的な世界に入り浸って良いのかい。キミは、ネットゲームの無価値な刺激を受けて、生きていくのかい。ネットの世界で生きていくのなら、e-SportsやYouTuberなど、ネットの世界を極めろよ。それもとても難しいんだ。
難しいことに挑戦してこそ、次の世界が開けるんだ。勉強に挑戦することを避けるなよ。キミが病気なら仕方がない。仕方がないと言うよりも、その病気を治すことが優先だ。しかし、キミは違うのだろう。
沢山ではなくても良い。何か1つ、キミが学びたいと言うものを探してみよう。運動でも教科でも芸術でも構わない。